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◇Bob Lennon by Endo Kenji

浦沢直樹氏のベストセラーコミックを原作にした3部作映画の完結編『20世紀少年<最終章>ぼくらの旗』を、公開初日の初回とレイトの2回観た。原作も実写版の映画も、何かと話題を振りまき、賛否両論の作品だ。なので、あえてここでは感想や評論をしようとは思っていない。ただ、ぼくと同じ1959年生まれの主人公たちが生きる世界観は、とても共感を受ける。同世代の浦沢氏の原体験が色濃く描写され、ぼく自身にとっても思い入れの深い作品のひとつだといえる。
この作品で、特に原作は音楽色がかなり強く「20世紀少年=20th Century Boys=」のタイトルのみならず、会話の端々に、バックの背景にさまざまな音楽要素が散りばめられている。これについては、かなり専門的に解説しているサイトなどもあるほどだ。

その中で、やはりキーになってくるのは「Bob Lennon ケンヂの歌」だ。
この曲がストーリーの核になるのだが、どのようにして生まれたか、浦沢氏はインタビューの中で語っている。
あれは、ロボット同士がぶつかり合って新宿の摩天楼が崩壊する予定で漫画を描いていたんだけど、その前の回を描き終えたところで9・11の速報が入ってきて、「これはもう描けないな」ってなってしまった。それで、夜中に犬の散歩しに行ったら、どこからかカレーの匂いがしてきて、すっごい寂しくなって、急に曲のイメージが頭に湧いてきたんですよ。それで、家に帰ってウワーッてスケッチみたいに録音したんですけど、この歌をケンヂに歌わせるという形でなら漫画を描けるかなと思って。

そしてこの歌は、原作中ではコードまでついて表現。音が取れる人なら、その雰囲気が感じ取れるだろう。実際に浦沢氏自ら歌い、原作初版本に付録についていたそうだ。またCDも発売されている。


このなんでもない日常を描いた歌詞にこそ、ありきたりの日常の大切さが込められている。世界征服、人類滅亡…。そんな時こそ、誰にも邪魔させない平凡な日常が、帰ることのできる場所があることが、人々に生きる勇気を与えるものになるように感じさせられる。
歌うシーンであったとしても、歌詞を漫画の中に載せるとあるジャンルに限定しちゃうから今まで絶対にやらなかったんです。たとえばパンクっぽい歌詞だったら、パンクロックが嫌いな人はその時点で読んでくれなくなっちゃう。でも今回は追悼だから歌詞もちゃんと書いて、コードも全部入れて。ひたすら追悼しているんだけど、それを『20世紀少年』っていうドラマの中に組み込んで成立させながら、テロに屈しないように描いてやろうって。おかげで『20世紀少年』の続きが描けたんですよ。じゃなかったら、あまりにもドラマが現実世界とリンクし過ぎちゃって描く気がしなくなっちゃってたんです。そこで、やるせない現実世界に対して自分はこれしか出来ないなと思って、あの歌を歌うシーンを描いたんですよ。あれのせいで全然想定しない方向にドラマが動き出しちゃいましたけど。あの歌にドラマが引っ張られちゃったんですよね。

毎日世界のどこかでテロが起こり、新型のインフルエンザが猛威を振るう。そしていじめ、派遣切りされた者の痛み、苦しみ。「誰でもいいから殺したかった」という無差別殺人。ともだちは、身の回りにいるかのような現代。浦沢氏の語る「ドラマが現実世界とリンクし過ぎた」いまだからこそ、「Bob Lennon ケンヂの歌」は、身に染みてくるのだろう。

最後に、「Bob Lennon ケンヂの歌」を歌う浦沢氏のライブと興味深いインタビュー映像があったので貼っておく。

2009.09.01 Tuesday ... comments(0) / trackbacks(0)
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